九日十日
小噺
あるお店の丁稚さんが一人で店番をしていると、一人のお武家が入ってきてこう尋ねた。「金毘羅様のお縁日はいつだったかな」
丁稚さんが
「たしか五日、六日です」
といい加減に答えたが、お武家さんは納得して帰っていった。
これを裏で聞いていた店の主人が
「これ金毘羅様のお縁日は九日、十日だ。行ってちゃんと教え直してきなさい」
しかたがないので丁稚さん、お武家を追いかけ呼び止めようとしたが名前がわからない。そこで大声で
「おーい。さっきの五日、六日の旦那ぁ。いつか、むいかぁ」
するとさっきのお武家さん「なのか、ようか」
すかさず丁稚さん「ここのか、とおかぁ」